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東京高等裁判所 昭和62年(行コ)15号 判決 1988年7月19日

埼玉県川口市栄町一丁目二番二五号

控訴人

株式会社栄興社

右代表者代表取締役

納口利男

右訴訟代理人弁護士

伊東眞

右訴訟復代理人弁護士

野村弘

埼玉県川口市青木二丁目二番一七号

被控訴人

川口税務署長

福田一雄

右指定代理人

野崎守

安達繁

牧村達雄

鷲見守夫

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が控訴人に対し、昭和五六年四月二八日付でした昭和五四年一一月一日から同五五年一〇月三一日までの事業年度(以下「本件係争年度」という。)分についての法人税更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税賦課決定処分(以下「本件加算税処分」といい、本件更正処分と併せて「本件課税処分」という。いずれも国税不服審判所長の昭和五九年四月一七日裁決(以下「本件裁決」という。)により一部取り消された後のもの)をいずれも取り消す。

3  訴訟費用は第一、第二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文同旨。

第二当事者の主張

当事者双方の主張は、原判決の事実摘示中「第二 当事者の主張」欄に記載のとおりであるから(ただし、原判決四枚目表三行目「1ないし4」を「1ないし5」に、同四行目「同5」を「同6」にそれぞれ改める。)、これを引用する。

第三証拠関係

原審及び当審訴訟記録中の書証目録、証人等目録に各記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  当裁判所も、当審での証拠調べの結果を勘案しても、控訴人の請求は理由がなく、これを棄却すべきものと判断する。その理由は次のとおり付加、訂正、削除するほかは、原判決の理由説示のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決五枚目裏六行目「1ないし4」を「1ないし5」に改める。

2  同五枚目裏七行目「争いがないところ」を「争いがない。」と改め、その次に以下のとおり加える。

「ところで、本件支出は、株式会社である控訴人が、昭和五一年一月から同五二年四月までの間に一七回にわたり合計二億七〇〇〇万円余を支出したものであるが、」

3  同七枚目表四行目「第五号証、」の次に「原審証人千田貞子の証言によりその成立を認めることができる甲第一九号証の一、二、」を、同五行目「の証言」の次に「及び弁論の全趣旨」を加え、同行目末尾「及び」を「、」に改め、同六行目「乙第一九号証」の次に「の一ないし三」を、同七行目「沼田欣一」の次に「(一部)」を、同行目「小田啓三」の次に「、同秋山素男」をそれぞれ加える。

4  同七枚目裏一行目「従業員」の前に「資本金五〇〇〇万円、」を加える。

5  同八枚目裏二行目「これは」を「そのうち一二四六万円は」に改め、同五行目末尾に以下のとおり加える。

「(なお、内金二五〇〇万円については、控訴人側の資料では昭和五一年三月一五日に支出されたとされるが、控訴人振出の同額面の小切手が実際に右口座に振込まれたのは同月一三日であつたと推認される。)、また、成立に争いのない甲第三四、第三五号証、弁論の全趣旨によりその成立を認めることができる甲第四五号証、原審証人沼田欣一、同小田啓三、原審における控訴人代表者尋問の結果によると、沼田らが控訴人代表者に無断で、背信行為ともいうべき中古機械の販売等のいわゆるサイドビジネスを始めたことが認められるが、しかし右各証拠によると、その時期は昭和五三年ころであることが窺われるから、本件取引の委託証拠金等の支払に右サイドビジネスからの収入が充てられるということは有り得ないこと」

6  同九枚目裏二行目「全く」を削除する。

7  同一〇枚目表五行目「納口は、」から同七行目末尾まで(「(九)」の記載全部)を以下のとおり改める。

「納口は、」さきにマルホ宝と実名で取引し、昭和五〇年九月ころ儲けを収めて手仕舞つたが、右取引のさいマルホ宝の社員から、業界の会議の席などにも売り買いの指示を求めて電話が掛かるというようなこともあり、閉口して沼田にその取次役を頼んでいたところ、その後のカネツ商事との取引に際しては、右のような会議の席には連絡をしないことを条件とし、自己の住所として沼田方を記入し、本当の住所はカネツ商事側に教えなかつたこと、また、そもそも本件取引は個人としては大量のものであり、一人の名義にすると監督官庁の目に付く恐れもあつたうえ、利益が出た場合の税法上の問題もあり、場合によつては個人の名誉にも関係しないわけではないから、自己の名義を使用せず、取引の名義を分散し、かつ、架空の名義を使用することに意味があり、そのようなことは商品取引の世界では珍しくなかつたこと」

8  同一〇枚目裏三行目「(証人千田貞子」から同五行目「措信し難い。)」まで(括弧の記載全部)を以下のとおり改める。「(いずれも成立に争いのない甲第三四、第三五号証、第三七号証及び第四六号証の各記載中並びに原審証人千田貞子、同沼田欣一及び原審における控訴人代表者尋問の結果中には、以上の認定に反する部分があるが、前掲各証拠及び右各認定と対比して、いずれも措信できない。)」

9  同一一枚目表七行目「題する書面、」の次に「前掲甲第一九号証の二、」を加え、同一〇行目の「二ないし三」を「二、三」に、同一〇、一一行目の「第一七号証ないし第二三号証」を「第一七、第一八号証の各二、第二〇ないし二三号証の各二」にそれぞれ改める。

10  同一三枚目表一行目「号証」の次に「が同一日付で作成され、しかも同一筆跡であり、同一人により作成されたと認められること」を、同行目「措信できない。」の次に「なお、右小川、野沢が実在の人物であつても、沼田の証言が措信できないことには変わりはない。」をそれぞれ加える。

11  同一四枚目表五行目「信用できない。」の次に以下のとおり加える。

「もつとも沼田が控訴人会社の関連会社エイコーダイキヤスチングエツキスポート工業株式会社(以下「エイコー」という。)からも収入を得ていたことは、成立に争いのない甲第四二、第四三号証の各一、二からも認めることができるが、しかし、前記甲第二四、第二五号証に記載されているように、昭和五三年一二月から毎月一〇万円づつ、さらにボーナス月と思われる七月と一二月には三〇万円をプラスして返済できるほどの収入はなく、また時期的にも食い違いがあることは右甲第四二、第四三号証の各一、二から明らかである。

12  同一五枚目裏六行目末尾「こと」の次に以下のとおり加える。

「、のみならず、そもそも本件支出の態様に照らし、その金額、回数、使途(付加、訂正のうえ引用した原判決の理由欄二1の認定事実)からしても、沼田に対する貸付と認めるのは困難であること」

13  同一六枚目裏四行目「メモであるところ、」を「メモであり、」と改め、その次に「前記甲第三七号証は右審判所での質問応答要旨であるところ、」を同五、六行目「右証言」の次に「及び前掲乙第一号証の記載」をそれぞれ加え、同六行目末尾の次に以下のとおり加える。

「もつとも、右乙第一号証は昭和四九年一二月、すなわち本訴が第一審に提起されてから作成されたものであり、当審証人坂井宏の証言、原審における控訴人代表者尋問の結果中には、小田の供述が正反対になつたのは、控訴人会社において退職金を払わなかつたためであり、また同人は、気の小さい、他の意見に左右され易い性格であるなどと述べる部分がある。しかし、その供述の変遷の動機はさておき、右乙第一号証の記載と原審における小田の証言とは細部まで一致しており、供述自体に不自然なところは見当たらず、虚偽の事実を述べたのではなく、自分の認識にしたがつて述べているものと認められ、右供述は措信できるというべきである。

14  同一六枚目裏七行目「そのほか、」の次に「前掲甲第三四、第三五号証、第三八、第三九号証の各記載、当審証人坂井宏、を加える。

15  同一七枚目表二行目「及び前掲乙第一号証の」を「、前掲乙第一号証の記載」に改め、同行目「昭和五九年」から同五行目「措信し難いこと、」までを削除する。

二  よつて、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 越山安久 裁判官 鈴木經夫 裁判官 浅野正樹)

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